あれは冬の凍てつくような夜中の二時のことでした。残業を終えて疲れ果て、一刻も早くベッドに潜り込みたい一心で自宅マンションの入り口に立った時、私は自分の過ちに気づきました。カバンをいくら探っても、あるはずの鍵が指先に触れないのです。オフィスに忘れてきたのか、それともタクシーの中に落としたのか。オートロックの無機質なガラス扉の向こう側には、いつも通りのロビーが見えているのに、今の私にはそれが遠い世界の出来事のように感じられました。インターホンを押して家族を起こすわけにもいかず、私はただ立ち尽くすしかありませんでした。人通りが全くない深夜の街路で、冷たい風がコートの隙間から入り込み、心細さは増すばかりでした。 しばらくの間、私は他の住人が帰ってくるのを待とうかと考えました。しかし、こんな時間に入り口で立っている人間は、どう見ても不審者です。運良く誰かが出てきたり入ったりした隙に滑り込む、いわゆる連れ込みを狙うことも頭をよぎりましたが、それもまた防犯意識の高いマンションではトラブルの元になります。結局、私はスマートフォンを震える指で操作し、二十四時間対応の鍵屋を検索し始めました。画面に表示される解錠費用の文字を見て溜息が出ましたが、背に腹は代えられません。数社に電話をかけ、ようやく一時間後に到着するという業者を見つけました。待っている間の時間の長さといったらありませんでした。近くのコンビニエンスストアまで歩き、温かい缶コーヒーを握りしめて暖を取りながら、なぜ家を出る時に鍵の確認を怠ったのかと自分を責め続けました。 約束の時間に現れた鍵屋さんは、手際よく作業を進めてくれました。作業中、私は自分の免許証を提示し、確かにこの部屋の住人であることを証明しました。幸いなことに、私の部屋のドアスコープから特殊な器具を入れることで解錠できるタイプだったため、扉を破壊することなく中に入ることができました。ようやく自分の部屋の玄関を開けた時の安堵感は、今でも忘れられません。結局、その夜の不注意によって私は数万円の出費を強いられることになりましたが、それ以上に、当たり前のように家に帰れることのありがたみを痛感しました。それ以来、私はスマートフォンのケースに予備の鍵を忍ばせるか、スマートロックを導入することを真剣に検討するようになりました。
鍵を持たずに深夜のオートロック前で絶望した私の体験記