ある金曜日の深夜、都内のマンションに住む三十代の男性、佐藤さん(仮名)は、会食を終えて帰宅した際にオートロックの鍵を紛失していることに気づきました。時刻は午前一時半。普段なら管理人が常駐しているマンションですが、この時間帯は受付も閉まっており、入り口は固く閉ざされていました。佐藤さんはまず、記憶を遡り、最後に鍵を確認した場所を特定しようとしました。タクシーのレシートを確認し、配車アプリから運転手に連絡を試みましたが、車内に忘れ物はないとの回答でした。この時点で、彼は自力での解錠は不可能であると判断し、次の行動に移りました。 佐藤さんのマンションは、夜間は警備会社と連動した管理センターが対応することになっていました。彼はエントランスにある掲示板の連絡先をスマートフォンで撮影しておいたことを思い出し、即座に電話をかけました。オペレーターからは、鍵の紛失による解錠対応は可能だが、警備員の出動費用として一万五千円がかかること、そして到着までに約四十分を要することが告げられました。彼はその条件を承諾し、警備員の到着を待つことにしました。待ち時間の間、彼はマンションの前で立ち尽くすのではなく、すぐ近くにある二十四時間営業のガソリンスタンドの明るい場所まで移動し、不審者に間違われないよう配慮しながら待機しました。 警備員が到着すると、佐藤さんは運転免許証を提示し、入居者リストとの照合が行われました。本人確認が取れると、警備員はマスターキーを使用して共有部のオートロックを解錠してくれました。しかし、問題はそこで終わりませんでした。佐藤さんの自室の鍵も紛失していたため、玄関のドアを開けることができませんでした。警備員は共有部の解錠までは行えますが、個人の専有部の鍵開けは業務外となります。結局、佐藤さんはそこからさらに夜間対応の鍵業者を呼び、追加で二万五千円を支払って自室の鍵を開けてもらうことになりました。全ての作業が終わったのは午前四時。この事例から学べるのは、オートロックマンションにおける鍵紛失は二重のハードルがあること、そして管理会社と鍵業者の役割分担を理解しておくことが迅速な解決に繋がるということです。
深夜にオートロックの鍵を紛失した居住者が取った行動の記録